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イオンプレーティングは、金属の表面に薄い皮膜を形成する表面処理技術の一つです。めっきとは原理や工程が大きく異なります。この記事では、イオンプレーティングの特徴やめっきとの違いについて紹介します。
イオンプレーティングは、物理蒸着(PVD)の一種で、対象物の表面に高密着な金属膜を形成するコーティング技術です。この方法では、真空環境で金属材料を加熱またはアーク放電によって蒸発させ、その蒸気をプラズマ中でイオン化し、高エネルギーの電圧をかけて基材(コーティング対象)に堆積させて皮膜を形成します。電解液を使用する湿式めっきとは異なり、真空環境で成膜するため「乾式めっき」とも呼ばれます。
イオンプレーティングでは、ターゲット材料を加熱・蒸発させた後、プラズマ中でイオン化し、電場によって加速された金属イオンを基材表面に衝突・堆積させます。このプロセスにより、密着性の高い金属膜が形成されます。
イオン化した金属粒子が高エネルギーで基材に到達するため、皮膜の密着性が向上し、耐摩耗性や耐食性に優れたコーティングが可能です。また、蒸着プロセスを制御することで膜厚を均一に調整しやすく、高精度な仕上がりが得られます。そのため、イオンプレーティングは工具、装飾品、精密部品、航空宇宙産業など幅広い分野で活用されています。
イオンプレーティングとめっきは、どちらも表面処理技術の一種ですが、原理や特性に大きな違いがあります。
めっきは、金属を溶解した液体(めっき液)を用い、電解反応や化学反応によって基材表面に金属膜を形成する技術です。電気めっきは電流を流して成膜し、無電解めっきは化学反応を利用して成膜します。膜厚を均一に保ちやすいという利点がありますが、密着性や硬度の面ではイオンプレーティングに劣ります。
一方、イオンプレーティングは液体を使わず、プラズマ中で金属をイオン化し、高エネルギーで基材に衝突・堆積させることで、密着性や耐久性の高い薄膜を形成する技術です。基材表面を活性化しながら成膜できるため、めっきでは密着しにくい素材にも適用しやすいのが特徴です。
ただし、イオンプレーティングは設備コストが高く、めっきに比べて成膜に時間がかかるため、大量生産にはコストがかかります。一方、めっきは低コストで広範囲の対象物に均一な皮膜を施せるため、コストや生産効率の面で優れています。
そのため、用途や求められる特性に応じて、適切な方法を選ぶことが重要です。