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真空蒸着とめっきの違い

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乾式めっきのひとつである「真空蒸着」は、数ナノメートル(nm)から数マイクロメートル(μm)の薄膜を均一に形成できる表面処理技術です。こちらでは真空蒸着について、その特徴やメリット・デメリット、めっき加工との違いを紹介します。

真空蒸着とは?

真空蒸着とは、真空環境下で金属や化合物を蒸発させ、その蒸気を製品表面に薄膜として形成する加工方法です。数ナノメートル(nm)から数マイクロメートル(μm)の薄膜を均一に形成することが可能で、特に光学部品や電子部品の製造において重要な役割を果たしています。

真空蒸着の仕組み

真空蒸着は、真空炉内で金属を加熱し、蒸発させることで気体に変化させます。この気化した金属が製品表面に接触し、冷却されることで薄い皮膜が形成されます。一般的にアルミニウム(Al)や銀(Ag)が蒸発金属として用いられますが、合金の蒸着には適していないため、用途が限定される場合があります。

形成される皮膜は非常に薄く、0.05~0.1μm程度の厚さです。この薄さにより製品の形状や機能を損なうことなく、コーティングを行うことができます。

真空蒸着のメリット

真空蒸着の最大のメリットは、高品質で均一な薄膜を形成できる点です。真空環境により大気中の不純物が排除されるため、蒸着された膜は非常に清浄で安定したものとなります。また、金属だけでなく、非金属素材にも適用可能な汎用性の高さも特筆すべきポイントです。

真空蒸着のデメリット

一方で、真空蒸着には耐久性や耐摩耗性が低いというデメリットがあります。薄い膜であるため、外部環境や摩擦に弱く、保護用のトップコートが必要になる場合もあります。また、真空環境での加工が必要なため、大型の製品や大量生産には不向きな場合もあります。

真空蒸着とめっき加工の違い

真空蒸着とめっき加工は、いずれも製品表面に膜を形成する技術ですが、そのプロセスや特性には大きな違いがあります。ここでは両者の特徴を比較して解説します。

加工の仕組みの違い

真空蒸着は真空環境下で金属を気化させ、製品表面に薄膜を形成する「乾式めっき」の一種です。めっき加工と違ってめっき液を使用せず、気体を用いる点が特徴です。一方、めっき加工は、めっき液中に製品を浸し、電気や化学反応を利用して膜を形成する「湿式めっき」として分類されます。

対応素材と用途の違い

真空蒸着は金属と非金属のどちらにも適用可能で、幅広い用途に対応できます。例えば、レンズの反射防止コーティングや半導体製造など、高精度が求められる分野で用いられます。一方、めっき加工は主に金属に適用され、防錆や装飾を目的とした耐久性の高い膜を形成するのに適しています。

膜の厚さと耐久性の違い

真空蒸着の皮膜は非常に薄く、製品の見た目や質感を損なわないメリットがありますが、耐久性においては劣る場合がありますこれに対し、めっき加工は膜が厚く、耐摩耗性や防食性に優れているため、長期間にわたり製品を保護することが可能です。

生産性とコストの違い

真空蒸着は専用の真空設備が必要であるため、初期投資やランニングコストが高くなる傾向があります。また、大型製品や大量生産には不向きな場合があります。一方、めっき加工は比較的手軽に導入でき、大量生産にも適しているため、コスト面での優位性があります。

まとめ

真空蒸着とめっき加工は、それぞれ異なる特性を持つ加工技術です。真空蒸着は薄膜で均一性や高精度が求められる分野に適しており、めっき加工は耐久性や防錆性が重要な製品に最適です。

どちらを選ぶべきかは、製品の用途や必要な特性に応じて慎重に検討する必要があります。自社に詳しい人材がいない場合は、専門的な知識を持つ技術者に相談するのがおすすめです。